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冬の奈良を歩く⑧《神官が歩いたささやきの小径》

ボス弁:季節のこころ模様
02 /16 2018
冬の奈良を歩く⑧
《神官が歩いたささやきの小径》


泊まった宿は住宅街の高畑町の東のはずれにあり、塀の向こうは飛火野である。
玄関を出て20メートルほど歩けば志賀直哉の住んでいた家があり、
その手前を左に入ると《ささやきの小径》である。
何度も歩いたことがあるため、今回はパスしようと思った。
しかし、長男が是非、行きたいという。
昔、お母さんと歩いた道だから、という。
この道は、ほぼ直線で春日大社に通じており、その神官が利用していたという。
木々がうっそうと生えているため、薄暗くて、陰気な感じがする。
これまでに4度ほど歩いたが、途中で人に会うことはめったにない。
なぜ、《ささやき》という名前を付けられたのかは知らないが、大きな声で話しながら元気に歩くような陽気さはなく、途中にも見るべきものは何もない。
ただ、昔のことではあるが、朝、この道を歩いたとき、森の奥の一か所だけに日が照っていたことがあった。
スポットライトのように、薄暗がりの中でその部分だけが輝いていた。
神々しいというのは言い過ぎにしても、心に残る光景であった。
神官であれば、思わず柏手を打ち、拝んだであろうか。


ささやきの小径
薄暗い《ささやきの小径》


(弁護士 大澤龍司)

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