入江泰吉さんの座っていた椅子

弁護士の”話半分で・・・”
04 /30 2015
TEXT《この椅子は入江さんがいつも座ってました。
ここに座る人は写真がうまくなります》
と案内の人がいう。
奈良の写真といえば入江泰吉さん、
というほど有名な写真家で、
奈良市高畑にはその写真記念館がある。

既に死なれた方だが、
その生前の家が公開されている。
家は各部屋が少し狭い感じだが
さっぱりとして趣味が良い。
TEXT道と反対側がかなり急な斜面で
樹木が茂り小川が流れている。
それが家の中からも見える。

東大寺から下ってきて、
戒壇堂の階段の前を左に折れて
約20メートル、
奈良公園や東大寺、興福寺に近く
まさに絶妙な位置にある。
TEXT
最近新しく公開したようだが
椅子に座って、写真がうまくなるなら
入館料は200円と高くない。
写真撮影は禁止ですというところが多いが
ここは《写真撮影は自由にどうぞ》という、
さすが写真家の家というべきか。

(2015.4.19 奈良にて 大澤龍司)

最近は不動産売却に走り回ることも多くなってきた

弁護士の”話半分で・・・”
04 /03 2015
《裁判だけが弁護士の仕事ではありません》

 弁護士は裁判や調停ばかりをしているのではない。
 不動産の売り主の代理人をすることも多い。
 この数ケ月で計5件ほど、土地所有者から売却依頼を受けており、ここ2週間、不動産の決済で走り回っていた。
 普通なら仲介業者に依頼するだけでいいのに、それでも弁護士に依頼するというのはどうして?と思う人も多いだろう。
 依頼される一番の理由は、信頼できる弁護士にすべて手続きをしてもらうと安心できるというところにあるようだ。

 私としては売主の立場で、弁護士の果たす役割は次の3点だと思っている。
 まず、契約書の作成やチェックは当然のこと、税務面で売却後の税理士の手配までの手続きを迅速かつ確実に進めること・・この点が依頼者のもっとも望んでいる点だ。
 次に物件をできるだけ高く売却することも弁護士の重要な任務だ。
 このためには、単独の仲介業者ではなく、複数の業者に仲介依頼をし、値段を競ってもらうということになる。
 ただ、業者が多ければよいというものではなく、多ければかえって混乱が生じることも多い。
 私がいつも配慮しているのは、その物件のもつ個性を考え、それに適した信頼できる仲介業者をいかに見つけだすのかということである。
 最後に複数の業者との交渉を、弁護士がいかにトラブルなく処理できるかも重要なポイントだろう。
 又、どのタイミングで、どこまでの値段で契約に持ち込むかの決断も必要だろう。
 時間をかければ、高額の申し出者が《他の物件を買ってしまって》、買い手から脱落することもある。
 言い忘れたが、複数の業者と交渉していると、その不動産の相場というものがおのずからわかってくる。
 業者から受け取る微妙なニュアンスを積み重ねると、(そこが弁護士の経験のなせる業だが)大体の相場がわかるし、又、この業者がどこまでの買い手をつかんでいるのか、どの程度まで値段を上げてくるのかがそれなりにわかってくる。
 例えば、不動産業者が査定をつけてきた金額から更に3000万円も増額させ、1億円以上で売却するということもある。

 弁護士にとって頭の痛いのは、売り主から持ち込まれた物件が、人気がないようなものである。
 そのようなときに業者の数を増やしても、売れないものは売れない。
 この場合には、その物件に《強い業者》に依頼して買主を探してもらうことにしている。
 《強い業者》というのは、現地の業者であるとか、現地の金融機関との強いコネクションを持っているとかいう業者である。
 ここでは、値段を高くするということではなく、いかに買主を見つけるかが重要である。
 それとともに、一旦、買主が出てきた場合、(通常はそのような物件の買主の提示する金額はかなり低いので)いかに金額の低落を防ぐのかという点も重要な点になり、これらが弁護士の力の発揮しどころになる。

 最近のケースでは、滋賀県のケースで1年間、仲介業者に依頼していたが、全く動きがなかったのに、当方が売却の代理人になって1ケ月半程度で話がまとまったこともあった。
 その場合、当初の業者の査定では3000万円だったが、買主は2000万円を提示し、最終的に2250万円で成約できた。
 金額が減額されはしたが、もし、あのタイミングで売れなければ、将来、長期間にわたり売れないと思われる物件だった。

 弁護士歴が40年を超え、又、その間、破産管財人として鹿児島のホテルから箱根の保養所等までの多くの不動産を売却してきた経験が、今、役立っているようだ。
 又、本当に多くの仲介業者とのお付き合いをさせていただいたことも、そして私の父親が仲介業者であったことから、小さいころから不動産に興味を持っていたことも、現在の仕事に役立っている。
裁判や調停だけではなく、売却にそれなりの手腕を発揮できるのもこのような経歴のおかげだと言っていいだろう。

南禅寺塔頭の《金地院》の庭・・・戦国武将のたたずまい

弁護士の”話半分で・・・”
08 /18 2014
堂々たる庭である。TEXT
左側に平たい岩を重ねている。
右側には岩を立てて高さを出し、
中央に小さめの岩を多数、配している。
左右を迫り出し、中央を下げて遠近感を出す。
手前は白砂を敷き詰めている。

枯山水には違いないが、
左の石組みの亀石の上に枯れかかった樹木を
又、右の石組みには枝ぶりのよい松を載せ、
石組みの背後に刈り込んだつつじを配している。TEXT
無機質な石組みに、緑あふれる木々が調和して
渾然一体となった見事な庭だった。

縁側に座っているとかすかな風が吹いてくる。
水音も聞こえるが、小川などは見えない。
庭の左奥に滝があるが、木々に隠れており、
流れ落ちる涼やかな音のみが耳に届く。

この庭を造ったのは小堀遠州である。
岩組によるがっちりした庭園の骨組みは
鎧を着て床几に座る戦国武将のようだ。
TEXT
木々や水音の使い方からは
無骨ではなく、豊かな人間性が伝わってくる。
岩や木々、水音という素材の持ち味を
オーケストラの指揮者のように遠州が
石組みと木立を一体として
見事にまとめあげた庭という印象だった。

金地院の場所:京都市営地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩約10分、
南禅寺山門の手前左側にある。

無鄰菴(むりんあん)で涼やかな風を楽しむ

弁護士の”話半分で・・・”
07 /16 2014
京都の《無鄰菴》に行ってきた。

駅で言えば、地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩約5分、
東山の麓にあり、南禅寺からも近い。

明治維新で活躍した長州(山口県)奇兵隊出身の政治家の
山形有朋の別邸であり、
造園家小川治兵衛の作になる庭園として有名である。

いざ、入ってみると、やはり広い。
池があり、庭園の奥には三段の滝がある。
緋毛氈の敷かれた座敷に座って、抹茶を飲んだ。
疎水から導かれた水が小川となって音を立てて流れていく。

《逝(ゆ)くものはかくの如きか、昼夜をおかず》※注1

という言葉がわき出てきた。
TEXT
テレビでは何度も見たことがあるが、
現地に行くとやはり違う。
テレビでは自分の見ている景色の一部に画面として庭があるが、
その場にいれば、自分の体や心を包み込んで庭がある。

梅雨の合間の蒸し暑い日ではあったが
座敷を吹き抜ける風が爽やかで
これこそ現地でしか感じ得ないものだ。

明治の元勲であった山形有朋はこの風を涼みながら
何を感じていたのであろうか。

※注1.孔子の言葉・・「過ぎ去るものはみなこの川の流れのようなものである。昼も夜も、休むことはない」という意味です。

離婚慰謝料の相場はいくらか?

弁護士の”話半分で・・・”
10 /30 2013
 離婚の相談の際、「慰謝料はどの程度とれますか?」と聞かれることが多い。
 「500万円です」とか、「1000万円は取れるでしょう」と言ってあげたいが、話はそう簡単ではない。
 交通事故なら、後遺症の場合にも、単なる傷害だけの場合でも、慰謝料の相場が公表されており、裁判でも相場をそれほど外れることはない。
 離婚では、婚姻費用や養育費については、夫と妻の収入などから算定するグラフを、家庭裁判所がネットなどで発表しているが、慰謝料については発表していない。
 実は、20年ほど前だったか、ある裁判官が離婚慰謝料の算定式を作ったとかいう話を聞いたことがあったが、その話はそのまま立ち消えしたのか、がせネタであったのか、どこにも発表されなかったようだ。
 離婚慰謝料のむずかしさは、相手方の職業や収入、離婚原因、結婚期間などで金額が異なってくるというところにある。
 なお、週刊誌などによると、有名なプロ野球選手の離婚では、妻が何億ものお金をもらったという話が掲載されているが、それは財産分与が多額になるからであって、慰謝料だけでそれほど高額になることはない。
 弁護士が関与する離婚事件で、一般的に多い額は100万円から300万円程度であるといわれている。
 《そんなに少ないの!》と言われそうだがこれが実情である。
 我が事務所のケースでも、相手が医者の場合に500万円を超す慰謝料を取ったこともあるが、これは例外的なものであって、やはり100万円から300万円程度が現在の離婚の慰謝料の相場というところだろう。