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破産者マップに行政が「閉鎖」を指導

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
03 /22 2019
外部リンク;破産者マップに「閉鎖」の行政指導 「個人情報保護法上の問題」と指摘


記事に寄れば、破産者の氏名や住所を公表する破産者マップ、というものを閉鎖するよう行政指導が出たようだ。
 私はこの破産者マップというものを見たことはないし、どのような目的でこのサイトが作成されたのかはわからない。しかし、ネット上で破産者の氏名や住所を公表しているサイトがあるとなれば破産を希望する多重債務者の方に多大な影響を及ぼすかも知れない。
 
というのは、破産を希望する方々の多くが
「破産したら公表されるのですか?」
「会社や友人、家族にも知られてしまうのですか?」
などと、破産の事実を知られてしまうことを心配している。

その質問に対する答えは↓

「公表されますよ。官報という政府が発行している新聞に名前と住所が載ります。そのため、あなたの破産を必死で探している人物がいれば知られる可能性はゼロではありません」

という答えになることが多い。
でも、この答えに対して次のような質問が返ってくる。

「官報ってどこで売ってるんですか?見たことないんですが・・・・」

おそらくこのブログを読まれるあなたも同じではないだろうか。
官報を読んだことのある人などほとんどいないのが実状だと思われる(仕事上の必要がある人を除く)。
 そのため、「ほとんど誰も目にしないような新聞であれば気にしない」という依頼者は多い。
 ちなみに、我々弁護士は業務上、自分の依頼者が官報に公表されたかどうかを確認する。ところが、官報には日々数百人の破産者の名前が掲載されるため、自分の依頼者を探すことさえ結構大変な作業である。赤の他人の名前を調べて見つけるにはよほどの根性と時間が必要だろう。
実際上、「官報に載せる実益はどれほどか?」と思ってしまうほどである。

 ところが、現在は氏名を検索小窓に入力すればネットで検索できてしまう世の中である。
 金融機関などお金を貸す業務であれば、過去に破産歴がないか調べる必要があることも理解できる。
しかし、「破産者マップ」なるものが官報で公表された氏名住所をデータベースとして載せていれば、破産の事実が誰にでも知られてしまう。おそらく官報とは比べてものにならない拡散力だろう。
そんなことになれば破産者としてはたまったものではない。

 ひた隠しにすることがよいとは思わないが、法律で公表が義務づけられているのは官報だけである。
お金を貸したりすることもないのに、単なる興味本位だけで破産者のことを調べられるようなサイトはぜひご遠慮いただきたいものだ。

(弁護士北野英彦)

美智子皇后のお言葉の後、急ピッチで進んだ整備

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
03 /20 2019
先日(平成31年3月8日)、東京に行ったので、地下鉄の転落防止ドア設置の状況を確認してきた。
私が乗ったのは東京メトロで、乗車コースは次のとおり。
 東京(丸の内線)=銀座=霞が関=国会議事堂=赤坂見附
 赤坂見附(銀座線乗り換え)=青山一丁目=外苑前=表参道=渋谷駅

車内から見たのを含めて、全駅に立派なホームからの転落防止ドアが設置されていた。
渋谷駅で降りたが、この駅ではドアは設置されているものの、動いていなかった。
駅員に聞いてみた、《このドア、動かないんですか?》。
回答は《現在、設置を終わり、調整中です。3月末には稼働する予定です》
その後、同じ東京メトロで 
 渋谷駅(半蔵門線)=表参道=青山一丁目=永田町
 永田町(有楽町線乗り換え)=桜田門=有楽町=銀座一丁目=新富町=月島駅

この区間もすべて、ドアが設置されていた。


東京駅2019
東京駅(前回私が平成28年の秋に行った時、この駅には転落防止ドアがあった。)



赤坂見附2019
赤坂見附駅(今回、新しく設置されている。)



渋谷2019
渋谷駅(設置は完了だが調整中とのこと。稼働は3月下旬予定とのこと。)



月島2019
月島駅(稼働している)



美智子皇后が「視覚障害者の駅での転落事故が引き続き多い……これ以上悲しい事例の増えぬよう、皆して努力していくことも大切」といったのは、平成28年のことであった。(※外部リンク:皇后もホーム転落事故を憂慮

その時点で、皇后があえて発言されるくらいだから、鉄道各社は防止に積極的になるだろうという期待を持った。
あるいはオリンピックと影響があるのかどうか不明だが、現在、私が乗った上記区間ではすべて、ドアが設定されていた。
東京メトロのように乗客が多く、また、運転間隔が極端に短い路線では、転落防止措置は必要不可欠であり、それが現実化したというのは、本当にうれしいことだ。
写真は、平成28年8月15日に転落死亡事故があった青山一丁目駅の転落直後(9月)と現在の状況だ。
このような立派な費用のかかるものではなく、もっと簡単なものでもよい。
例えばJR西宮駅では転落防止装置はロープによるものだが、視力障碍者の生命の安全に直結するものなので、乗客の多い駅では是非、普及を早める必要があろう。
でないと、転落事故が起きた場合、また、誰か元気のいい弁護士が訴訟をすることになるかも。



青山一丁目 事故当時
事故直後(平成28年9月)の青山一丁目駅ホームの状況。
ホーム端に柱があるため歩行が困難。
キャリーケースを盲導犬と考えれば、人がホーム端を歩くと危険な状況であった。




青山一丁目2019
現在の青山一丁目駅のホーム状況(転落防止ドアが稼働していた。)

ほのかな灯、ここに来て良かったと思えるとき ~つれづれに万葉(割込編)忍坂の古道を歩く⑫

ボス弁:季節のこころ模様
03 /19 2019
じんご石の後は石位寺(いしいでら)に寄った。
重要文化財の石造薬師三尊があるが、予約必要なため、見ることができなかった。
寺の階段を下りるとき、もう太陽は沈んでいた。
帰りは行きと同じ道を歩いて戻った。
忍坂坐生根神社(リンク)近くに来たとき、うすぼんやりとした光が見えた。
よく見ると、神社の境内の石灯篭にろうそくが灯されていた。
階段を上がった広場の24基の灯篭の全部にである。
境内に人の姿はなく、とりわけ祭り事があるようでもない。
その日は平日(水曜)だったから、おそらく毎日、そして、神主もいないようなので、地域の人が灯しているのだろう。
石灯篭に火を灯すのであるから、万葉や記紀の時代からではなく、鎌倉や室町、江戸時代などから始まったものかもしれない。
神輿を担ぐでもなく、又、神楽というような観光に役立つものではなく、ただろうそくに火をつけるという日常的な行為にすぎないけれども、それが毎日行われているということが、私にとってはよりすごいことのように思われる。
このような営みが続けられている、その場面を見ることができただけでも、ここ忍坂に来た値打ちはあった。
忍坂には心をかすかに揺さぶる何かがある。


毎日ともされる
うす暗闇に灯るろうそくの炎に感じるやすらぎ。


消えそうなろうそく
風に吹かれて今にも消えそうだけども。




点字ブロックの日に考える、優しい社会の作り方

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
03 /18 2019
外部リンク:きょう3月18日は「点字ブロックの日」 沖縄でシェア9割の工場では知的障がい者が製造

今日は「点字ブロックの日」だそうだ。
点字ブロックについては、当事務所の所長弁護士の大澤が、過去に、現JR(当時は国鉄)相手に点字ブロックをつけるべきだという訴訟をし、全国紙の一面に掲載される判決をとっており、その普及の一助を担う活動をしているため、ご興味のある方はご参照いただきたい。
大原訴訟HPリンク

上記大澤の活動もあり、点字ブロックはかなり普及したといえる。
視覚障害者のホームから転落して、列車に両足を切断されたという悲惨な事故で、この事故を受けて弁護士が国(当時は国鉄だったため)を相手に訴訟をし、全国に向けて問題提起をすることによって、行政が動き、点字ブロックの普及につながったということだ。
弁護士の仕事は、訴訟をして金銭的な勝利を勝ち取ることだけではなく、訴訟をすることで社会を変えることができることもある。
私はこの案件に弁護士の仕事の幅を感じた。

もっとも、駅のホーム等から視覚障害者の方が転落するというような事故は、今でも度々起こっている。
幅の狭いホームも多いため、点字ブロックが設置されていても、点字ブロックに気付いてどうにかしようとしたときにはもう遅い、ということもあるのだろう。
現在では、駅のホームには柵をつけて、転落を防止しようという動きがあり、関西でも少しずつ柵ができてきている。
ただ、最も大切なのは、危険な場所では気付いた人が声掛けをするなど、みんなで助け合える社会づくりであろう。

今回の記事では、沖縄県の就労継続・就労移行支援事業所にて、知的障害のある利用者らが点字ブロックの製造をしているとのことである。
お互いに、誰かの役にたつために自分のできることをする、という当たり前のことをすれば、少しずつ世の中は優しくなっていく。
大澤が担当した上記事件の頃よりも、少しは優しい世の中になっているはずだ。
そのために弁護士としてできる活動はないか、仕事の幅を自分で狭めず、これからも考えていきたい。

(弁護士 岡井理紗)

脇道、寄り道、じんご石 ~つれづれに万葉(割込編)忍坂の古道を歩く⑪

ボス弁:季節のこころ模様
03 /14 2019
知らない所に行くとき、ともかく歩きまわる。
狭い範囲内しか動きまわれないが、小回りが利く。
面白そうな脇道があれば必ず入る、寄り道をする。
ときに思わぬ発見をすることもある。
で、《じんご石》というものを発見した。

大伴皇女らの墓を見た後、行きとは違う道を歩いた。
その途中、道路に大きな石が置かれていた。
周囲には岩は全くなく、この岩が孤立して存在している。
高さは2.5メートくらいで縦に長い。
背後に2歩の木の柱が空に向かって突き出ている。
その頂点を横木でつないで、そこに鐘が吊り下げられている。
神武天皇が八十建(やそたける)を征伐するときにこの岩に身を隠したとか、舒明天皇と関係があるとか言われているようだ。

参考までに言えば、古事記や日本書紀の双方に、神武天皇が八十建を攻め滅ぼしたという話があり、その段で忍坂の名が出てくるし、書紀には忍坂の記載のほぼ同じ個所に《大石》、《大きなる石》という記載もある。
これらを結びつけると、《忍坂の大きなる石》があった、それがこの《じんご石》となったのであろう。

《じんごいし》は、漢字では《神籠石》である。
先ほどの話にちなんで、《神》武天皇が《籠》った石ということなのか、あるいは霊力があるため、神が籠っている石とされていたことから名づけられたのか。
それにしても、神武や舒明などという天皇などの名前が、ひょいと簡単に出てくる、そんな土地柄というのがすごい。


神籠石の有形
神籠石の夕景
吊り下げられているのは
火事などの時に危険を知らせる警鐘だろうか。



神籠石の案内板
神籠石の説明看板