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児童相談所機能強化を図る改正法が成立

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
06 /20 2019
虐待家庭への児相介入強化=親の体罰禁止明記-改正法が成立


児童相談所の機能強化を盛り込んだ改正児童虐待防止関連法が、19日の参院本会議で全会一致で可決成立したとのことである。
改正法の中心は、虐待が疑われる家庭から子供を一時保護するなどして引き離す「介入」と、保護者を支援する機能を明確に分け、また、親の体罰禁止を明記したという点だということだ。

子供が虐待を受けており、SOSに気付く余地があったのに対応が遅れ、最悪の結果になってしまったという事件は、最近たびたび耳にする。
児童相談所が保護者に圧力をかけられて、虐待を訴えている子供を家に帰してしまったというケースもあったが、そのようなケースは児童相談所の対応が適切ではなかったと言わざるを得ない。
今回の改正は、これまで「介入」と「支援」を同じ職員が行っていたのを、まったく別の職員が行うようにすることによって、上記のようなケースを防ごうとする趣旨で行われたものである。

それだけで問題が解決されるのだろうか?
児童相談所内の体制は整っているのだろうか?
児童相談所の職員の人数は足りているのか?ケアは十分か?
親の体罰禁止を定めても、結局実際に虐待のある事案で保護者の圧力に負けていては、規定があろうと意味を持たないのでは?
など、疑問は多々あるものの、何とか児童相談所にかかわる問題を解決しようと問題提起されていること自体は評価すべきだ。

事案によっては、保護者が育児ノイローゼになったり、そこまでいかなくても何らかの理由で追い詰められていたりして、保護者自身に助けが必要なケースも多々あるだろう。
そのような事案でも、「介入」と「支援」を分け、「支援」の担当者が専門に行うことによって孤独な保護者を救えるケースが少しでも増えれば望ましい。

いずれにせよ、改正して終わりではなく、児童相談所の抱える問題を少しずつ解明し、今後も対応を続ける必要がある。
(弁護士 岡井理紗)


拳銃はどこに?プロの仕業?と悩んだ一晩

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
06 /18 2019
外部リンク:容疑者確保、学校は通常登校に 子どもにまだ不安の声


日曜日の朝、大阪府吹田市の交番で警察官が刺され、拳銃が強奪されたという恐ろしいニュースが報道され、現場付近を中心に大阪中が一時厳戒態勢となった。
私は吹田市からかなり離れた場所にいたが、それでも家の戸締まりや外出は控えることにした。
吹田市近辺の方々はおそらく多くの方が外出を控えたため、犯人が外をうろうろしていれば目立つ状態であったに違いない。
私が一番気になったのは「容疑者逮捕」ではなく「拳銃の発見」である。
容疑者逮捕がどうでもよいわけではないが、容疑者が捕まっても拳銃が行方不明のままならなんの解決にもなっていないからだ。
私はニュースを見ながら、「犯人はなんのために拳銃を奪ったのか?」と考えていた。
警官を襲えば警察が全力を挙げて追ってくることは明らかで、とんでもなくリスクの高い犯行である。しかも、警官は訓練も経験も装備もあり、どんなに計画的だったとしてもそんな簡単にできることではない。
それを刃物で刺ししてしまうくらいなので、とても素人のなせるワザではないと思っていた。
そうすると、犯人はなんらか訓練を受けたプロで、拳銃を強奪してどこかに売るために警官を襲ったのではないか、などいろいろ考えてしまった。
そうこう考えて一晩が明けたら、拳銃が無事に見つかったニュースを目にした。
拳銃が行方不明になるという私の心配は取り越し苦労に終わったことがわかった。
あとは警官の方の回復を心よりお祈りしたい。

(弁護士 北野英彦)



パワハラ、原則は罰則なしで社内対応で処理させ、ひどい場合には罰則が必要

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
06 /13 2019
外部リンク:罰則規定のない「パワハラ防止法」に効果はあるのか


パワハラ防止法が成立した
パワハラをしてはならないということが法律ではっきり定められたというのは大きな進歩だろう。
ただ、罰則がないことが問題になっている。
適正な指導とパワハラの境界が曖昧であるという企業側の意向で罰則は見送られたという。

実は、当事務所の顧問先の企業でもパワハラ問題が発生した。
そのため、顧問先に弁護士を派遣して《セクハラ、パワハラ防止》講習会をし、これらの行為の防止を呼び掛けるポスターを貼り、パワハラ等の案件の相談の窓口を当事務所に設けている。
その企業からは、これまでに匿名の人を含め、複数の相談があった。
その経験から言えば、訴えのあったすべてがパワハラであるかどうか微妙な案件もあった。ただ、訴えのあったことは事実であるため、当該企業には事実を伝えるとともに、再発防止措置を講じるよう助言した。

企業内弁護士がパワハラ相談室を開設しているというのは、基本的な立場が企業側ということで、《本当に適切に対処してくれるのか?》という実効性に疑問を持たれかねない。
しかし、反面で、企業との信頼関係があることや企業内の事情を知っていることから、当該《加害者》の処遇について、適切な処置をするような助言することも可能になる。
言い換えれば、告発して従業員にとっても不愉快の思いをさせないように、また、《加害者》にも適切な指導、対処をすることができるという利点もある。

罰則ということになれば、社外の捜査や調査が入るということである。
しかし、微妙な案件に警察が関与するのは決して望ましいことではないだろう。
仮にパワハラであると認定されても、過去の行為を罰した方がいいのか、あるいは、将来に向けての再発防止に重点をおくのかがいいのか。
結論から言えば、それほど、重大ではないパワハラにも罰則という網をかけるのは望ましくない。
防止法には《社内の相談体制を整備しなければならない》という条項があるので、これを活用して、社員には安心できる職場を、また、上司には反省の余地を残すという将来に向けての措置を優先させるのが望ましいのではなかろうか。

ただ、パワハラの中には、悪質極まりないものも存在するようだ。
先日、テレビで、言葉でのパワハラで精神的な障害になったケースを放映していた。
上司の態度や口での攻撃はひどく、これだったら病気にもなるなぁという感じを持った。
このケ-スの場合には、労働基準監督署に申し出をし、労災認定されたようだ。
パワハラ案件の中には、誰が見てもひどいというケースもあるに違いない。
そのような著しい場合には、罰則を設ける必要があるだろう。
どのような程度のパワハラ行為を罰則の対象にするかという点ではなかろうか。

(弁護士 大澤龍司)

職場で強制される飲み会は残業なのか

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
06 /10 2019
外部リンク:「職場の飲み会は残業なのか」問題 人事専門家の見解は

記事では最近のドラマで出てきた話を題材に、飲み会が終わった瞬間に退社ボタンを押すシーンが議論を呼んでいる。
今でも多くの会社では退社時に会社でタイムカードを押すため、この方式では考えられないシーンだが、今後タイムカードのIT化が進めばこういうシーンも増えてくるだろう。

個人的には、上司から指示があり、職場として参加を義務づけられた飲み会であれば労働時間に含めてもよいと考えている。たとえお酒の入る場であったとしても同じである。
「残業時間」というのは、理屈をいえば
「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」
といわれる。

実務でいえば、上司からの指揮命令があって業務に従事している時間は「労働時間」
これが定時を過ぎた後なら「残業時間」といえるのだろう。
ドラマのシーンでも、上司が参加を義務づけられたため「労働時間」に含めることができる可能性は十分にある。
逆にいえば、どれだけ仕事に役に立つことだったとしても、「上司の指揮命令」がなければ労働時間ではない、ともいえるだろう。
たとえば、上司から命令されたわけではないが、営業マンが自主的に取引先と仲良くなり、より大きな契約を取ろうと接待をした場合などは(たとえ仕事の役に立っても)命令がないので「労働時間」ではない。

労働時間ではないが、接待中の飲酒が行き過ぎ、傷害や死亡につながったケースはいくつかあり、これが労災だと認められたケースもわずかながら存在する。
かつては「お酒が入れば仕事ではない」とよく言われていたが、現実はそんな簡単に割り切れるものではない。実態をしっかり見つめてみれば飲み会も仕事だといえる部分があるのではないだろうか。

(弁護士 北野英彦)

隣に幽霊屋敷があったら、どうすればいい?

弁護士の“ちょっと一言いいですか”
06 /06 2019
外部リンク:危険な空き家は全国に40万戸も 撤去が進まない深刻な事情

通勤途中に空家がある。
長年放置されており、瓦はずれ落ち、壁の一部は崩壊し、窓ガラスは破れている。
もし不審者が入ったら、火事になったらと、隣家の人は、不安でいっぱいだろう。
さて、どうするか?
一番、先に思いつくのは、市町村役場に行って《隣の家、放置されています。怖くて不安です。何とかなりませんか》と相談・お願いに行くことだろう。

2015年に「空き家対策特別措置法」が制定された。
この法律で、倒壊の危険や衛生上の問題がある空家(「特定空家」と言われる)場合、自治体が所有者に助言指導したり、強制的に撤退を促すことができるようになった。
記事によると、このような特定空家は全国に少なくとも40万戸あるようだが、自治体が指導助言したのは3年半で1万3084件(約3%)、強制的に撤去したのは29件(約0.007%)という結果で、危険な空き家の撤去はほとんど進まずむしろ増え続けているようだ。

今回の記事には《空き家といっても賃貸や売却ができ、生き返る住宅は空き家とは言いません》という意見が記載されている。
実は前記措置法ができたときに、当事務所の弁護士が不動産業者の団体と特定空家問題で話をしたことがある。
私が《特定空家は商売になりませんか?》とストレートに聞いたら、そのときの業界の人の回答も《売れる物件なら特定空家にならない》という同じ考えだった。

今回の措置法の記事は、法律は作ったから、問題が解決するわけではないということを示すよい例のようだ。
放置しておれば、固定資産税を重くするだけではなく、多額の罰金がかかり、それを考えると取り壊す方がよいという撤去の動機になるような制度が必要だろう。
また、取り壊しについては、所有者全員の同意ではなく、一部の者の同意でよいとすることも考えてもよい。
更に最後の切り札である自治体の強制撤去(代執行)がより手間や費用がかからないように手続きを劇的に簡素化するなど、思いきった措置も講ずる必要がある。
少子化、過疎化の中、より大胆な措置を打ち出した法律を作らないと、特定空家はなくならない。
(弁護士 大澤龍司)